おすすめの中国映画【芳華-Youth-】

2020年4月1日

おすすめ度:★★★★☆
公開:2017年12月15
監督:胡晓峰
出演:黄轩,苗苗,钟楚曦,杨采钰,李晓峰,王天辰,苏岩
時間:2時間15分

1970年代の中国を舞台に、激動の時代の波に翻弄されながらもたくましく生きる若者たちの切なくも美しい青春の日々をつづったラブストーリー。

文化大革命に揺れる1976年、何小萍は模範兵の劉峰の付添のもと軍の文工団(歌劇団)に入団する。

入団早々同室の林丁丁の軍服を無断で借りた事が明るみになり、小萍は孤立してしまう。

1978年毛沢東の死去により四人組が逮捕され時代が大きく変化してゆく中、小萍は心の支えであった父が労働改造所で死去したことを知らされる。

林丁丁に想いを寄せる劉峰はとある事件をきっかけに文工団を退団することになる。

1979年、中越戦争が始まり文工団員、何小萍、劉峰の人生はそれぞれの局面に向かって走りだす。

上映当時映画館で鑑賞。現在60~70代前後の年配者が青春時代のストーリーとなっており、やはり観客もその世代が中心となっていた。本来は国慶節に合わせて上映される予定だったが、何らかの事情により2ヶ月ほど延期になったらしい。

文化大革命についてはそこまで深く触れられていないが(というか深く切り込むことはできないのだろうが)、主人公の一人何小萍の父が労働改造所に送られており文工団入団のため姓を変えなければならなかった事や、準主役の萧穗子の父親が名誉回復し大喜びする場面などはギリギリの線で文革の悲劇を表現している。

特筆すべきは※中越戦争の戦闘描写がものすごくリアルな事。筆者自身も目をそむけたくなるような場面もあり若い世代はトラウマになるレベルと言ってもいい。「本当の戦場とはこういうものなのか」と唸りたくなる殺るか殺られるかの世界を、スピード感あふれる殺伐としたカメラワークで描いている。ただ戦闘中のベトナム側の「顔」が見えないのは少々残念ではある。

激しい戦闘シーンを描く一方で時代の転換点を生きる若者の姿を瑞々しく描いており、特に女性の健康美の描写は中国映画にしてはけっこう攻めているなぁという印象。軍の文工団を舞台にしているため、プロパガンダ映画と捉える人もいるかもしれないが、筆者が見る限り客観的に審査にかかる微妙なラインで当時の状況をリアルに描いていると感じる。音楽も非常によい。

時代背景の予備知識がないと日本人には少し難しいかもしれないが、筆者としては今まで見た中国映画の中で傑作の部類に入る作品。途中、尺的な問題か政治的な問題かわからないが明らかにカットされている部分がなければ満点をつけるのだが、ノーカットの作品を通して見てみたかったという意味で星は4つ。

※中越戦争は、中華人民共和国とベトナム社会主義共和国の間で、1979年に行われた戦争である。 原因となったベトナム・カンボジア戦争とそれに伴うカンボジア内戦とあわせ、第一次インドシナ戦争とベトナム戦争に続く「第三次インドシナ戦争」とも呼ばれている。 (Wikipedia)。

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芳华

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