北京路に行ってきた(最終回)

2016年2月13日

北京路を一通り散策した私はいまいち物足りなさを感じていた。地球の歩き方には「古い街並みを見学できる」と書いてあった気がする。繁華街の建物は確かに古いのだが中身はブランドショップや飲食店になっており、そこに住んでいる人の生活感というものがまったく伝わってこないのだ。

もう少し何かないものかと繁華街を抜けぶらぶら歩いていると、「高第街」といういかにも古そうな街の入り口を見つけた。

しかし中に入ってみると入り口こそ多少賑わっていたものの、メインの通りは春節のためかほとんどの店のシャッターが閉まっていた。

それでも何かないかと歩いているとさらに奥へと続く路を発見。

そこには私が見たかった生活感溢れる広州の古い街並みが広がっていた。

建物はかなり老朽化が進んでいる。

細い通路に軒を連ねる果物屋と雑貨店。

魚屋。蛇の鱗のような不気味な模様の魚がいる。

檻に入れられた鶏が売られている。こんな光景は日本ではなかなか見ることはできない。

※ここからは残酷な写真があるので、見る方は自己責任でお願いします。

ちょうど目の前で一羽注文が入った。

店のおばさんは鶏の頸動脈に素早く包丁を入れ、バケツの中に放り込んだ。

少しして動きが鈍った鶏を沸騰したお湯の中に入れかき混ぜること、約3分。

鶏を窯から取り出し素手で鶏の羽を毟る店のおばさん。

あっという間に鶏はいわゆる肉へと変貌を遂げた。鶏の血で染められたバケツと毟られた鶏の羽。目の前で鶏が処理されるのを初めて見た。なかなかにして残酷である。しかし普段何気なく口にしていたケンタッキーのスパイシーチキンも、マクドナルドの照り焼きチキンも元はといえば私たちと同じ赤い血が流れる生命なのだ。命ある生命を口にしないと生きてはゆけない(ベジタリアンを含む)人間の業を再確認するとともに、今後はもっと普段口にしているものに感謝しようと思った。

鶏は1羽15元~17元という破格の値段で売られていた。この鶏たちの行く末を考えると言葉が出ない。

繁華街と違い路地の中はタイムスリップしたようなゆっくりとした時間が流れていた。

路地の中にある民家。テレビの音がしたので普通に人が住んでいる。

北京路の周辺にはこのような昔ながらの街並みが多く残っていた。恐らく北京の「胡同」のように保護されている場所もあるのではないかと思う。

古い街並みを抜け南の方角に歩いてゆくと港に行き着いた。広州を流れる大河「珠江」、橋の向こうにかすかに広州のシンボルである広州タワーが見える。

流石に歩き疲れた私は午後5時半に帰路に就いた。そう言えば当初の目的だった「花市」はやっていなかった、恐らく大晦日までのイベントなのだろう。しかし公園やお寺、昔ながらの街並みを見学できてとても充実した一日だった。本当は春節中にもっと色々広州市内を見学したのだが、またそれは機会と自分の余裕を鑑みて紹介したいと思う。

北京路に行ってきたシリーズをすべて読んでくれた方、ありがとうございました。

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